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「ふざけてへんで。別に俺はエミリとなら想感調律してもえぇ思うとるし。つーか……」
「――!?」
ユズが耳元に口を寄せてきた。
さっきの謝罪といい、そこで囁かれるのは反則だ。
分かっていてそうするのなら本当に質が悪い。
「俺、想感調律以外のこともエミリとならしてもえぇ思うとるんやで?」
「た、例えばっ?」
「例えば……恋人同士でないと出来ないこととか?」
「私、女なんだけど……」
「アホやなぁエミリ。知ってるやろ。俺が同性愛に寛大やって。エミリとなら俺、百合カップルになってもええんや。それくらい……愛してんで。エミリ」
「~~っ」
金魚だ。
今のエミリを一言で表すなら金魚だ。
顔を真っ赤にし、口をパクパク動かす様は正にそれだった。
「エミリ……」
頬に触れられ、思わず目を瞑ってしまった。
しかし暗闇の中から聞こえてきたのは……。
「くっ……ふっ……」
「……?」
「ふははははははっエミリぃマジ可愛えぇ!! 顔真っ赤!! 冗談なんにっそんなっ本気っ……は、あはははははっ」
「……」
いつもなら羞恥でどぎまぎしてしまうのに、この時程可愛いと言われてムカついたことは無かった。
「ふんっ!!」「いがっ!?」
振り上げた足がユズの顎に直撃した。
「いっで!! いっでえぇえ!!」
顎を抑え身悶えるユズを尻目に、鞄からシャンプーなどのお風呂セットを取り出すエミリ。
「ユズ、私お風呂行って来るから」
「え、じゃぁ俺も一緒に……」
「来 ん な変態」
――――
――――――
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