第一章~遊事《ユズ》

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「ふざけてへんで。別に俺はエミリとなら想感調律してもえぇ思うとるし。つーか……」 「――!?」 ユズが耳元に口を寄せてきた。 さっきの謝罪といい、そこで囁かれるのは反則だ。 分かっていてそうするのなら本当に質が悪い。 「俺、想感調律以外のこともエミリとならしてもえぇ思うとるんやで?」 「た、例えばっ?」 「例えば……恋人同士でないと出来ないこととか?」 「私、女なんだけど……」 「アホやなぁエミリ。知ってるやろ。俺が同性愛に寛大やって。エミリとなら俺、百合カップルになってもええんや。それくらい……愛してんで。エミリ」 「~~っ」 金魚だ。 今のエミリを一言で表すなら金魚だ。 顔を真っ赤にし、口をパクパク動かす様は正にそれだった。 「エミリ……」 頬に触れられ、思わず目を瞑ってしまった。 しかし暗闇の中から聞こえてきたのは……。 「くっ……ふっ……」 「……?」 「ふははははははっエミリぃマジ可愛えぇ!! 顔真っ赤!! 冗談なんにっそんなっ本気っ……は、あはははははっ」 「……」 いつもなら羞恥でどぎまぎしてしまうのに、この時程可愛いと言われてムカついたことは無かった。 「ふんっ!!」「いがっ!?」 振り上げた足がユズの顎に直撃した。 「いっで!! いっでえぇえ!!」 顎を抑え身悶えるユズを尻目に、鞄からシャンプーなどのお風呂セットを取り出すエミリ。 「ユズ、私お風呂行って来るから」 「え、じゃぁ俺も一緒に……」 「来 ん な変態」 ―――― ――――――
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