第二章~再起《サイカイ》

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メンデルより、登山列車で四時間。 そこからさらに山道を外れ、獣道を闊歩すること三時間。 その遺跡はあった。 かつてはゲイル遺跡と呼ばれていたその遺跡。 今では立ち寄る巡礼者も登山者も無く、メンデルの町人の中でも、その正式名は朧気にしか記憶されていない。 かろうじて形を残している石垣の門や、かつては御子が歌い踊っていたのか。 広場の風化した祭壇。 傾いた何本もの堀立柱。 何を象ったのか、頭部が破損し分からないが、恐らくこの世界で崇められている女神ヒルダの石像。 それ等の風光に哀愁を感じながらユズは……。 「ズズーーッ」 カップラッメーン(濃旨!! アハド匠監修絶品ヒドラのテール味!!)をすすっていた。 「いっやああああぁぁぁ!!!!」 可愛い可愛い彼女(ユズ自称)の、それはもう可愛らしい小動物のような絶叫をBGMにしながら。 「ま、待って待って待って!!!! こっち来なっ……ひぃやあぁぁ!!!!」 「エミリー、もう3分経つで。早ぅ倒さんと麺伸びるでー」 ゲイル遺跡に、誰も寄り付かなくなってしまった原因。 立地の関係もあるが、近付きたくとも近付けないのだ。 何故ならゲイル遺跡はもはや人の侵入を拒む、魔物スカラーウルフの住処となっていたからだ。 町人もゲイル遺跡よりスカラーウルフの住処と言った方が、しっくり来る者の方が多いらしい。
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