プロローグ

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想い出は降り積もる。 願いは積もることなく、人の心に溶けてゆく。 夢から覚めるように、それは儚く消えてしまう。 好きに想うことが、好きに願うことが許される世界だった。 それは誰にも縛られることはない願いの奔流。 それ以上に綺麗なものはない。 それ以上に求めるものはない。 ???「私は・・・そう思う。そう・・・思ってた・・・」 ある日気づいた。 多分それは、あの出会いがきっかけだった。 ・・・1人よりも、2人のほうが楽しいんだ。 ・・・1人で遊ぶよりも、2人で一緒に遊ぶほうが嬉しいんだ。 ・・・1人よりも、2人でいた方が暖かいんだ。 あの日、初めてわかった。 その想い出は今も心に積もっている。 それだけは、どれだけの時が過ぎようと消えてしまうことはない。 だけど今はこの願いが・・・ただ寂しいだけ。 たった1人、この永劫に続く闇の中、私はここにいるのだから。 だからきっと、ここで眠ってしまったら、自分は二度と目覚めないのではないか・・・そう思ってしまう。 だからこそ、私はここで願っているのかも知れない。 なにも見えない、この永劫に続く闇の中で、小さな光を見つけるために。 ???「変わらないものなんて、この世界にはないのかもしれないけど・・・だけど、変えたくないものは、やっぱりあるから・・・あなたも変わってしまったのかもしれないけど・・・私にとってのあなたは変わらないから・・・あなたにとっての私が、いつまでも変わらないのと同じで・・・そうだったらいいなって、思っています・・・これは優しい願いなのでしょうか・・・それとも、悲しい願いなのでしょうか・・・」 想い出と願いは降り続ける。 止むことはなく、永遠に・・・
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