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春花を研究所に送った後、しばらく車を走らせると今度は魔小の職場についた。
とりあえず車から降りて伸びをしながら魔小に声をかける。
雅「はい、魔小もついたよ」
魔小「うん・・・いつもありがとう・・・」
雅「気にするなって、いつものことだろ?」
魔小「・・・うん」
そういって嬉しそうに笑う魔小。
そんなにたいしたことはしていないのだが、嬉しそうにされるとこっちも嬉しくなる。
雅「さてと、それじゃあうるさいのが来る前に僕は―――」
???「こら~!!」
魔小「・・・残念・・・手遅れ」
僕達を怒鳴りつけるように建物の門から小さな女の子が出てくる。
???「不審者めー!!私達を誘拐する気ね!!そうはさせないんだから!!」
雅「このやり取りも何回目かな?」
魔小「多分20は越えてる・・・」
???「もう、菖蒲(アヤメ)ちゃん。勝手に園内から出ちゃダメよ・・・あら、魔小先生。おはようございます」
魔小「あ・・・おはようございます・・・工藤(クドウ)先生」
工藤「古龍さんもおはようございます」
雅「おはようございます」
建物から出てきた園児、菖蒲を抱き抱えながら魔小の教育係である工藤先生が顔を出した。
ここは縁園(ユカリエン)。
魔小の職場である保育園だ。
大学卒業後、いつの間にか保育士資格を取っていた魔小はこの縁園で働き始めた。
正直、魔小にはあまり向いてなさそうな気はするのだが、本人は嬉しそうに仕事をしているので、僕がそこを突っ込むのは野暮という奴だろう。
そうこうしている内に見知った園児が門に集まってきた。
???「菖蒲ちゃ~ん、なにしてるの~?」
菖蒲「あ、蒲公英(タンポポ)」
???「あ、お兄ちゃんに魔小先生!!おはよう!!」
魔小「おはよう・・・百合(ユリ)・・・」
雅「おはよう、百合。蒲公英もおはよう」
蒲公英「あ・・・おはよう・・・ございます・・・っ!!」
百合「蒲公英ちゃん、隠れちゃダメだよ?」
菖蒲「こら~!!2人をいじめるな~!!」
雅「いじめてないって」
僕も毎日のように魔小を送迎しているので工藤先生や園児にも多少顔を覚えられている。
特にこの菖蒲、蒲公英、百合の3人組はこうして魔小を迎えに来たときに園内にいることがあるのでたまに遊んであげているのだ。
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