王様と俺の出会い

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クロード・デュランは極々普通の農家の6人兄弟の末っ子である。母に似たのか女性らしい顔つきではあるが、友人も多く明るく元気に家族の手伝いをする青年だ。 そんな彼は、膝をついて蛇の男の前で頭を下げていた。いや、正確には男の尻尾の辺りで頭を大理石の床に押さえつけられていた。 「いつまで…続くんだ、これ」 「俺の気が済むまで。大体、女寄越せって言っただろうが」 「グッ…」 何も言えなくなったクロードを優雅に紅茶を啜りながらグイグイと冷めた目で押し付ける姿はまさに鬼畜である。暫くして飽きたのか引き摺りながら自分の元に寄せる。 「で、何で野郎を寄越したワケ?」 「ッ?!…実は」 クロードは素直に話すことにした。別に自分に非が在るわけでもないし、何より下手な言い訳をすると食い殺された挙げ句厄災が降りかかってきそうな気がしたから。出稼ぎに女がいってしまったこと、村に年頃は男しかいないこと。初めは男は眉間に皺を寄せていたものの徐々に呆れた表情に鳴って終わるころには溜め息を吐いた。 「バーカ…といっても、正直こんな例がなかったからな…どうすっか…」 「蛇の王サマ、俺の事は煮るなり焼くなり好きにしていいから、今年は村には手を出さないでくれ」 「…ふぅん?」 意思の籠った瞳にニヤリと唇を歪ませると平伏されてから一度も立ち上がらなかった彼の所へ行き、蛇は目線が合うように屈めた。 「オルピス・ド・ミズガルズ」 「は?」 「蛇の王の名前だ」 そういうとオルピスは綺麗に微笑み掛け、未だに呆けてるクロードの後頭部を髪が抜けそうなくらい強く掴んで引き寄せた。 「イッ?!」 「約束守ってやるよ。煮るなり、焼くなり好きにしてやるからな?奴隷クン?」
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