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ある嵐の夜のことでした。
海はいつも以上に荒れていました。
泳ぎが特技な人魚でも、泳ぐのが難しいと言い出すほどで、ほとんどの人魚は必死で泳いでいなければ、流されてしまうほど。
人魚の中では、泳ぎが得意な人魚姫も、泳ぐことを苦痛に感じでしまうくらい、荒れていたのです。
そうなると、泳ぎが特技ではない人魚たちは、流されそうになるものもいれば、流されてケガをしてしまうものもいました。
人魚姫は自分自身が泳ぐのも辛い状態ではありましたが、溺れている人魚を放っておくわけにはいきません。
また、人魚姫に求められている立場もまたそれを許しませんでした。
人魚姫の善意ではありましたが、人魚姫なんだから、助けて当然という考えの人魚もたくさんいたのです。
だからか、泳げない人魚を助けようとする人魚はごく少数で、人魚姫が助ければいいと傍観を決め込む人魚もいたのです。
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