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「哲ちゃん、居眠りとか事故とか気をつけて。それから、着いたら電話でもメールでもいいから連絡してくれるよね?」
「ああ。途中、休んでくし、連絡は明日だ。起きて待つなんてまったく無駄だからな」
「わかった」
返事をしたあと、ちょっと不自然じゃないかと疑うくらいの一秒か二秒、哲は姫良に目を留めていた。
それが紘斗に向くと、哲は薄気味悪く片方だけ口の端を上げた。
「紘斗、おれがいねぇからって余裕カマしてんじゃねぇぞ」
「東京離れたいって、哲、逃げてんじゃねぇぞ」
その掛け合いは、“アイツ”から“紘斗”と“哲”に変わったというのに、姫良からしたら訳のわからない挑発に聞こえた。
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