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「仕事は?」
「電話あってからハイスピードで仕上げた」
「哲ちゃんのおかげでデートできる!」
うれしさ満面の姫良とは対照的に、紘斗はちょっとだけ眉をひそめる。
「おれの実力だ」
いつにない自己主張が紘斗の口から飛びだす。
「……そうだろうけど?」
どうしたんだろうと見つめていると、紘斗はつと目を逸らし、ため息を吐いて何かを振り払うように首を横に振った。
「まえ向いて歩かないと転ぶぞ」
まるで子供に対する注意だ。
何をどう思ったのか知らないけれど、さっきの紘斗の云い方のほうがよっぽど子供っぽいのに。
ほんの少し眉間にしわを寄せて抗議を示したあと、姫良は云われたとおりに正面に向き直った。
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