第19話 パステルカラー

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「紘斗、ここがホントに好きなんだなって思って」 紘斗が肩を少し動かしたのがわかった。 座って見上げているのも疲れてきて、また花に目を戻した。 「雪割草、わたしみたいって。だから、紘斗のお気に入りの場所にわたしはずっといたのかなって……ちょっと……ううん、すごくうれしくなった」 からかうか、もしくは鼻で笑ったりするかと思ったのに紘斗は黙っていて、そのかわりに姫良の手を一瞬強く包みこんで、それから離れた。 「桜きれいだけど、見るのにはちょっと早かったね」 「また来ればいい」 「うん。……一年、なんだ」 まだ咲きはじめといった桜を見上げながら、姫良はゆっくり立ちあがった。 紘斗はすぐ傍にある白いベンチに腰をおろす。 「どうした」
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