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「紘斗、あきらめないでくれてありがとう」
血が繋がっていることは関係なくて、心配してくれる心が傍にあること。
それがどんなことより温かい。
「去年は駄々こねてたな」
「……わがまま云ってただけ!」
紘斗はかすかに首をひねりながら静かに笑った。
ちょっと癪に障って手に力を込めたけれど、痛みを与えるどころか逆に握りしめられる。
「痛い!」
「もう少し体力つけろよ」
「運動しろってこと? 面倒くさいし、きついからいい」
「やっぱ、お嬢さまだな」
姫良はおどけて首をすくめると紘斗の隣に座った。
「紘斗と一緒だと、家族じゃなくっても春みたいに温かい気分でいられる。パパたちとは木の葉散ってる秋って感じだけど」
「社長が泣くな」
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