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原色のバケツやスコップが砂のなかでにぎやかに散らばっている。
三カ月後には二十二歳になるという姫良が楽しそうと思うのだから、子供たちが笑っているのはあたりまえだ。
幼い頃は自分もあんなことをして遊んだことがあっただろうかと、姫良は記憶をたどってみた。
けれど、もともと記憶は薄く、イメージさえも浮かばない。
「姫良」
しばらくして紘斗が姫良を呼んだ。
「何?」
「哲はともかく……おれと姫良が家族になれる方法はある」
「え……――?」
はじめはピンとこなかったが、紘斗の言葉を頭のなかで復唱していくうちに、含まれた意味がわかった。
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