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「でも! 今日のことなのに今日になって知らせるってひどいって思わない!?」
「黙って行ってもよかったんだけどな」
そのひと言だけで哲は姫良の小言放出を止めた。
哲ならあり得ることで、気まぐれに電話が来たとき、例えば、いまアメリカだ、と云ってもおかしくはない。
かすかに口を尖らせることで不満を示しながら、姫良は右隣に座る紘斗を見上げた。
紘斗までからかうように左側の口角を上げ、それからその目は哲に向いた。
「なんで北海道に居つくんだ?」
「居つくってわけじゃねぇ。東京から離れてみたくなった。けど、一年後はこっちにいるはずだ」
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