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確信に満ちた声に姫良は首をかしげた。
あまりに端的な報告に気を取られて、肝心なことを聞いていなかったことに気づく。
「哲ちゃん、北海道に何しに行くの?」
「勉強だ」
「勉強?」
「大学に行こうって思ってる」
「北海道の大学に行くの!?」
「じゃねぇだろ。そうしたら一年で帰られない。
脳みそ凍ってるからさ、勉強をやり直さなきゃなんねぇ。
金いるし、実云うと去年の六月から、建設関係でいろんなとこに出稼ぎ行ってた。
そんなかで北海道行って、地元に住んでた車好きのオヤジとたまたま会って意気投合ってヤツ。
息子が塾の講師でさ、受験勉強に関しちゃ協力してくれるっていうし、そのオヤジが車の整備工場やってて住みこみで働かせてくれるっていうし、おれにとっては渡りに船だな」
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