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姫良は半ば唖然としていまさらの哲の告白を聞いた。
去年の夏くらいから連絡が少なくなったなと思っていたら、そもそも東京にいなかったのだ。
「おれはよけいなこと云ってたらしい」
なんのことか、紘斗はかすかに首をひねって笑い、対して哲は肩をそびやかした。
「んなことねぇ」
ふさいでしまいそうな姫良をそっちのけにして、ふたりは通じ合っているように口を歪めた。
「で、どこ目指してんだ?」
「青南大の経済学部だ。そこ出てる親父から勧められたっていうのもあるし、あそこは成績次第じゃ学費を優遇してくれる」
「ああ。確かに、青南の経済学部は国立一の京東大より優秀な人材が多いって聞くな」
「哲ちゃん、親父ってお父さんいるの?」
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