独房のカーテン

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仏壇前のノートに名前を記入し、あとは帰るだけ。 暗闇に包まれた寺の内部から安心感を取れるのは、おそらく世界でも俺くらいだろう。 何もなかった、本当に。 寺の中には、何も。 ただ暗くて、薄気味悪いだけ。 だけどそこに恐怖感とかは、一切なくて。 俺を凍りつかせたのは、暗闇ではない。 光。 漏れていた。 外から、寺の内部へと。 光が。 その光に、俺は恐怖した。 増え続ける人魂という、説明のつかぬ怪奇現象。 ヤツらが発していたオレンジ色の光が、漏れている。 開けよう。 開けねば、終わらない。 一面の、火。  
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