王都サルディアと森の同居人

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 ラルス神父がお盆に陶器を載せて戻る。 「教会の畑でとれた、花茶です」 「わぁ、ありがとうございます!」  暖かい季節であるが、お茶は熱いに限る。アリスはロッドを膝の上に置いて口にした。 「あ、それ。アリスは魔法使いなんだ。へぇ」 「そーなのよ。サルディアに行くのも、魔術師登録をするためなの」  魔術師は登録制になっている。多大な力を発揮する可能性があるので、半ば強制的にだ。  当然そんな登録など無視するような奴も存在しているが。 「この辺りの地方はそんな取り決めあったわね。サルディアかぁ」  別に全世界すべからくこうではない。サルディニア王国の法律だ。 「師匠が登録してこいって言うから。どうせなら一緒に来てくれてもいいのにね」  往復して一ヶ月ちょっと、二人だったらどれだけ楽しいか。我が儘を言っても始まりはしない。 「それですが、フラさんにサルディアまでお使いを頼みたいのですが」  神父が機を見計らい切り出す。
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