王都サルディアと森の同居人

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「え、あたし? いいけど、高いわよ」  教会の頼まれことで金をとるのかと言いたい、とはいえ片道十日を行ってらっしゃいだけもひどい話だ。 「往復の旅費二人分でいかがでしょうか」  レヴィン神父からの要請、手助けをしてあげてください。同封されていた銀貨が丁度それだった。 「ね、アリス。あたしも一緒に行ってもいいかしら?」  信者のうちから適切な人物を探して同伴させるのを望まれている。  たまたま目の前に条件が合致する人物が居た、簡単な話といえる。 「大丈夫なの?」 「まあね、あたしも行脚途中で教会にたかりにきただけだから。それにサルディアにおいでって、誘いもあったし、久し振りにってね」  ついでついで、軽い気持ちだから。喜ぶべきかどうか、無理なら断っていたはずだ。 「うん、改めて宜しく!」 「はーい。ほら、友だちの友だちは友だちだから」  神の隣人がどーたら。彼女の適当な文句に神父が正しい教えを諭し直した。
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