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辛い過去を持っていない人間なんてそうそう居ない、それが二人が出した一つの答えだった。
話し相手が居ると長い旅路も楽しく過ごせる、時に喧嘩をしたりもあるけれど、断然独りぼっちより良い。
「サルディアってどういうところかな」
「そうね、結構清潔で、安全で、大きな建物があって、人が大勢いて、茶色いかな?」
最後のだけはアリスにもすぐ理解できた。サルディニア王国の国家色が茶色なのだ、国旗を含めて。
だから国軍の兵なども茶色が基調の服を着ている。
「町の公館、三階建てが一番大きかったけど、もっとよね?」
「お城あるからね、望楼とかって何階で数えたらいいのかな?」
塔の階層は二階といえる、間は全部螺旋階段だから。けれどもその表現は正しくないだろうとわかっても、どう説明したものか。
「ま、行ったら解るわよね!」
「そーねー」
あっさりと解決。半ば考えるのを放棄したのだけど、深くは気にしない。
「ところで魔術師登録って、実際何かするの?」
ただ署名するだけなら、延々王都なんぞにまで行くこともない。郵便がある。
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