王都サルディアと森の同居人

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「実技試験とか、面接みたいのがあるみたい。詳しくは私も知らないのよね」  自己申告で魔術師になれないような何かがあるそうだ。  規制を受けると同時に恩恵も受ける、国から魔術師が流出しないように制度が作られていた。 「国の役人扱いに?」  王国がどう位置付けているか、それで大きく変わってくる。魔法は戦争にも使える、犯罪にも。  それは治安と大きく連動してくる、となれば公的機関が管轄するというのは大いに頷けた。 「王宮で働くならそういうのも認められるって。私は森に戻るつもりよ」  登録することだけが目的。国としてもちゃんとそうしてくれれば文句はないはずだ。 「そう。じゃあ、無事登録出来たらあたしからご飯おごりましょう! ほら、神父にお金も貰ってるし、どうせ他に知り合いも居ないし」  あ、一人居るか。追っかけ呟いたけど、それだけだ。 「ありがとうフラ、ご馳走になっちゃおうかしら」  にっこりとほほ笑む。変な遠慮をされるよりもよっぽど気分が晴れる、旅の道連れとして、双方とても良好な人物だといえた。
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