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◇
長大な土壁、それを外壁にして市街地が広がっている。人間の肩くらいまでの壁は野生動物の多くを阻むのに充分な能力を有していた。
「うわー、すっごーい!」
確かにフラが言うように茶色いと思った。野盗や外国が攻めてきたら外壁は大した役には立たない、だがその時はきっと別の防衛方法があるのだろう。
「相変わらず大きいわね」
見渡す限りの街、中心部にはお城がどーん建っている。本当に困ったらあの城に籠るんだとか。そうなったら街の人たちはどこかに逃げ出す、そうするしかない。
「あの門が出入り口よね、行きましょ!」
ルンルン気分でフラの手を引いて走り出す。
「ちょ、そんな急がなくても」
はいはい、解ってるわよ。すぐに街に行きたい、アリスの気持ちを汲んで二人で一気に距離を詰めた。
「おやお嬢さん方、いらっしゃい」
門番のおじさん兵士が二人に挨拶してくる。高圧的な態度でないのは高得点だ。こういうところに居るのは大抵が横柄と相場が決まっていたのだが、例外はあるようだ。
「こんにちは! 魔術師登録受けに来ました!」
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