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「あたしは教会のおつかいでーす」
十字架と手紙を提示して別件を明示した。アリスも願書を取り出し提示する。
「そうかいそうかい、じゃあ通っていいよ。教会はこの通りを真っすぐ行って右手、大きな十字架が見えてくるからちゃんとわかるはずだよ。魔術師登録は、あのお城だ。頑張って来るんだよ」
実に下手な門番だ。親切で為になる、つい両手を振って感謝を表してしまう。
「おっちゃんあんがとー」
「ありがとうございます、頑張ります!」
門を潜り抜けるとそこは今までとは別世界。大通り添いには派手な看板、整理された区画、ところどころに掲揚されているサルディニアの国旗。
「すごい……」
目を見開いて王都をまじまじと見詰める。田舎に暮らしていたら想像も出来ないだろう光景、これが都会だ。
「綺麗に発展しているわね、さすがトリュッケン王ね」
その王の名は近隣諸国にも轟いている。十数年前、サルディニア王国を含めたディール帝国が国を割っての内戦に突入した。反主流派の旗頭に立ったのがこの国だ。
「あら、少し違う柄の旗があるわね?」
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