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「内庭に進め」
願書を提示すると広場に行くように言われた。他にも同じように集められた者が多数やって来ている。
「うわぁ、皆そうなんだ」
国内の街から一斉に候補をかき集める。年に何度やっているかは知らないが、百人や二百人は居そうだ。
「ね、貴女も魔術師登録?」
「え、そうよ!」
声を掛けられて振り返る。あか抜けした、そんな表現が近いだろうオーラが醸し出されていた。
――あー、私苦手かも。
アリスは色気よりも動きやすさを目的とした服装。比べたら比べるほどに気が引けてくる。
「サルディニアの品格を落とさないで欲しいわね。誰が推薦人なのよ」
「推薦人?」
ちょんちょんと願書の下を指差す。手にしていたものをじっくりと読み返す。
「――なお、登録に際しては推薦人一名が必要となる……えーっ!」
秘密にされていたわけではない、ずっとそこに書かれていた。うっかりしすぎ、書類はよく読むべし。
「呆れた。これだから田舎者は嫌いなのよ」
「アンネローゼ様、リットン卿のご子息が」
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