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黒の執事服、そんな者まで連れてきている。派手できらびやかなドレス、アンネローゼと呼ばれた彼女は、アリスに蔑んだ一瞥をくれて去っていった。
「それにしても推薦人かぁ、どうしよ。居ないとダメなのかな……」
簡易テントが張られて書類受付が始まる。順番がやって来ると恐る恐る願書を差し出した。
「アリス・アルティンさん?」
「は、はいっ!」
記入された名前、出身地や年齢を確認して行く。最後に例の空欄。
「推薦人は?」
「いえ、その……」
「居ないの? それとも書き忘れ?」
事務的な確認、それがなんだということはない。つまるところたまにあることなのだ。
「それが……さっき気付いて」
「そう。じゃあ介添人でも良いから、記入して三日以内にまた来てください」
説明欄に介添人の項目があった。推薦人が得られない人物の救済事項にあたるそうな。
「おおっ!」
「では次の方」
解決した気分になりその場を後にする。結局、誰かのサインが必要だという事実に悩むのは、サルディアの遺産についてからだった。
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