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◇
「推薦人?」
サルディアの遺産でケーキをつついているフラが、やって来るなり願書をテーブルに置いて突っ伏した。
「うん、推薦人は通常、魔法の手解きをした人みたい」
だから師匠がそうみたい。今から戻ってサインしてもらうには時間も足らなければ、面目もたたない。
「あらー、残念」
木苺をフォークで刺して口に運ぶ。願書を近くに寄せて説明を読む。
「推薦人がない場合は、介添人の同行でこれを認める、か」
介添人は社会的地位があり、当該魔術師の身元保証を行える者に限る。尚且つ試験会場にも同行し、一部始終に添う必要を認める。
「介添人探すしかないわよね。親戚でも居たら普通はなるみたい」
ぐったりとしている。疑問があった。
「なんで師匠は推薦人署名しなかったのかしら?」
手解きをしたのだから魔術師だ。サルディニアに居るならば登録をしていて、制度を知らないわけがない。
「師匠ったら面倒が嫌だったのかな……」
身元保証って。
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