王都サルディアと森の同居人

17/21
前へ
/79ページ
次へ
「じゃあまた来年遊びがてら来たらいいんじゃない」  急いで登録を済ませる必要なんてないんでしょ。あまりにのんきな台詞が飛び出る。 「魔法使いの素質を認められた者は、登録を済ませるか、そうでなければサルディアの寮に入らなきゃいけないのよ」  国家の財産。魔術師とは資源だ、これを逃してはならない。野良は犯罪を犯してしまう危険も考慮して。 「ふーん。なら寮に入るのも一考の余地ありかぁ。王都暮らしも楽しそうでいいじゃないの」  国の寮ならお金の心配も無さそう。他人事だと思いお気楽な発言が続く。 「私は師匠が心配なの。ずっと一人きりで、いつも辛そうで。私が居ないと部屋に籠りきりで。村の誰もが関わろうとしなくて。だから帰りたい、帰らなきゃいけないの!」  アリスがやや強い口調で理由を語る。コミュニケーションが出来ない師匠、能力と性格は別物だ。 「そう。アリスがそうしたいなら、それが一番ね」  何と無くで流されているのも楽しい、フラはそう感じているので決めずに土地を巡っている。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加