王都サルディアと森の同居人

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「でも介添人なんて見つからないよぅ」  ぐぁー。変な呻きを漏らしながら頭を抱えた。何だか面白いやつだ。 「んー」  懐からペンを取り出し、介添人に名前を記入する。M・フラ。とてもすっきりとした記述。 「はい、試験落ちたら残念賞ね」 「え? ええっ!」  サインしてくれたのは有りがたいが、誰でも良いわけではない。それに責任問題もある。 「フラ、これ身元保証を兼ねてるのよ?」 「まーいいんじゃない、悪いことも出来なさそうだし。アリスだもん」  ケラケラ笑いながら、騙されたりしそうなどと茶化す。 「それに社会的地位がありって」 「ああ、ほら私は聖マリーベルの信徒だから、これ」  前々からつけている十字架、信者の証。身分証明も兼ねていたりする。  十字架の中心に二重になった三つの星が装飾されていた。銀に輝くそれは、デザイン的にも美しい。 「えーと、三つは入信者だったかしら。迷惑掛けてごめんね」  一つはただの聖具。二つは平信者の証。星の数は最大六つ、大司教と呼ばれる教祖がそれをつけている。
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