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◇
魔女が居るならば魔法も存在している。それがこの世界の常識だ。
一つの都市に魔法を扱える者が数十人、稀少な存在ではあるが驚くようなことでもない。
「リリス、今日はお祭りの日だな。ほら、行くぞ」
一年前、彼が手を差しのべ、彼女が握った。今では特別なことではない。
「そう焦るなアルト。祭りは逃げない」
落ち着き払い椅子から立ち上がるリリスティア。アルトは強引に彼女を引き寄せた。
「な、何をするっ!」
「踊りが終わっちゃうだろ、約束したじゃないか、一緒にって」
大勢の人に見られるので乗り気ではなかった。しかし、アルトが望むので渋々承知した。
「覚えておったか、致し方あるまい」
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