魔術試験とアリスの憂鬱

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「あーら、誰かと思えばあの田舎者さん」  薄い紫のドレス。鎖骨が綺麗な女性がアンネローゼなんだろうことが、フラにもすぐに解った。そばに黒服執事が従っているからだ。 「私はアリスよ」 「あら、名前なんてあったのね田舎者にも」  性格の良さが大爆発している。執事はキリッと無表情のまま背筋を伸ばして立っていた。 「えーと……あ、アンテロープさん?」 「誰が牛よ! アンネローゼよ、何なのよこのお子様は」  家紋が装飾された指輪、敢えて見せびらかすように口に添える。 「フラちゃんです」  アリスもアンネローゼも牛っぷり的には大差ない。貧しい人物からしたら憎らしい。 「どうしたんです、受付はもう終わってましたよね?」  記載の不備は見当たらない。それが普通だが。 「陛下にご挨拶してきたのよ。私くらいの貴女にもなれば、たしなみですわ」  王に目通り叶うとは、本当に血筋は良いらしい。貴族って居るんだな、アリスは単純にそう感じた。 「凄いねアンネローゼは、私なんて都に来るのすら初めてなのに」
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