魔術試験とアリスの憂鬱

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 人を人と比較するのは誤りだ、やってはいけない。人間とは全てが個で構成されている。 「そんなちんちくりんな付き人しか居ないんですもの、南派決定ね」 「フラは付き人なんかじゃないわ!」  アリスが抗議する。歴とした介添人と言おうとした時、フラが先に言う。 「そーそー、アリスがあたしのメイドなんだから」  それもどうかと思う、けれど真っ向否定するよりも場が和んだ事実があった。 「どんくさいメイドだこと。けど……お似合いかしらね、ほほほほほ」  軽く不気味な高笑い、聞き流せばいいかと二人は反応を見せない。 「アンネローゼ様、次の会談が御座います」 「そうね。庶民は庶民らしくしてらっしゃい」 「お嬢様方、失礼致します」  すっと頭を下げてからアンネローゼについて行く。家人も苦労するなと、二人で目を合わせてしまった。 「試験会場を見てから戻りましょう」 「うん。お城じゃないのよね、何で外なのかしら?」  サルディア郊外の平地。簡単な地図に印がつけられている、迷うことは無さそうなほど周りに何もない。
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