魔術試験とアリスの憂鬱

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◇ 「試験を受けられる方はこちらに並んで下さい」  試験官らが整理をつける。幾つかのグループに分けて、あの広い野原で準備を行う。 「じゃあ行ってくるわね!」 「頑張ってねー。あたしは控え場所で待ってるわ」  アリスは紅組、便宜上与えられただけでなんの意味もない。二十人程が一緒になり本会場から離れる。 「えー、皆さんの試験官を務めさせて頂く西派のフォーカスです。時間は充分あるので、焦らずにプログラムを消化してください」  さながらツアーのような状態。登録試験だ、当然皆未登録の者ばかりなので緊張している。 「知っている人は……居ないわね」  アンネローゼは紅組に居ない。きっと北派の試験官がいるところに割り振られているのだろう。 「あれ?」  黒づくめのローブ、それが同じグループに居る。問題は彼が試験官ではなく、試験を受ける側だということだ。 「あのー」 「む、何だね。……あ!」  独特な喋り、間違えるとは思えない服装。明らかな動揺を見せる。 「こんにちは、あなたも登録試験を受ける人だったんですね!」
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