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◇
祭りは盛り上がり、二人の気分は最高潮を迎えた。嫌々だったリリスティアであったが、雰囲気にほだされた感がある。
「まあまあ面白いではないか」
精一杯の表現、他人と関わったことはこれで二度目。不老長寿を初めて知った、最初のパートナー。自分は外見が変わらず、伴侶だけが歳を重ねて行く切なさ。
「リリスティア」
「なんだ」
いつもはリリスと呼ぶくせに、急にリリスティアと呼ばれた。アルトは真面目な顔。
「リリスティア、俺と結婚して欲しい」
そうかもと思うことはあった。アルトのことは嫌いではない、それどころか世の誰よりも好きだ。
「私は……破滅の魔女なのだ。きっとアルトを不幸にする」
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