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長い睫毛を伏せがちに、彼女は首を横に振る。大好きだからこそ、不幸にはしたくない。
「俺はリリスと一緒に居られたら、それが幸せだと思ってる。だから今だってとても幸せだよ」
「その……わた――」
「破滅の魔女だ!」
リリスティアが承諾を口にしようとした時、街の警備が声をあげた。魔法使いが大勢やって来て二人を囲む。
「そこに居るのは伝承にある破滅の魔女だ。君、すぐに離れて!」
隊長らしき中年男性がアルトに避難を呼び掛ける。リリスティアは悲しげな表情になり、うつむく。
「彼女は破滅の魔女なんかじゃない! 俺の妻でリリスティアだ!」
「ダメだ、魔女に虜にされている!」
魔法使いが詠唱を始めた、市民が遠ざけられ、障壁を構成して行く。
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