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◇
今までも村には何度もお使いに行っていた。どうしても森にあるものだけでは暮らしていけない。
「王都は初めてだもの、何かわくわくしちゃう!」
アリスはロッド片手に街に期待する。魔法使いが一人前、要は自力で構成を編めるようになると、ロッドを与えられる。
威力や種類ではなく、構成出来るという行為に対しての評価だ。
「三日も四日もかけて遠くに来たわね!」
森はサルディア王国の辺境に在る。そこには官権も取り締まりにはやってこない。
村にある教会から神父が稀に森へやって来て、話をする程度。
彼もアリスの安否を気遣うのであって、同居人と顔を会わせたりはしない。
「あの町かな?」
神父が手紙を渡して欲しい、そうアリスに頼みごとをした。
無事に都に辿り着けるよう、その町の神父に協力して貰いたいとしたためたものだ。彼女は知らない。
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