第2章:崩壊の景色

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夏休みはあっという間に過ぎ去り、宿題にも苦しめられたがなんとか終わらせることができた。 夏休みはガッツリと野球に打ち込み、レギュラーになった僕にもようやく自覚というものが湧き始めていた。 身長もなんとなく伸びてきたように思える。 ミルキーでの日記も毎日書き続けており、みのりちゃんとのやりとりも続いている。 とにかく僕の夏休みはとても充実していた。 そして学校もはじまり、季節は秋になる。 食欲の秋、読書の秋。 僕にとっては野球部の秋大会があるからスポーツの秋が占める割合が大きくなるかな。 「いいスイングになってきたなぁ」 僕の素振りをイッタが後ろから見ている。 僕たちは毎日、誰よりも早くグラウンドに来ては朝練をしている。 この成果か、前までひょろひょろだった僕のバッティングは驚くほど向上し、最近はヒットも増えてきた。 もちろんこの成長はイッタの指導のおかげもある。 「最近は身体もでかくなってきたしな」 「俺はお前には小さいままでいてほしいんだけどな。相手ピッチャーもそっちの方が投げにくいし」 僕は早くチビから脱却したいんだよ。 そう言うとイッタはニヒヒと笑い、まぁお前がデカくなれば打順が上がるだけの話だよ。と答えた。 そしてイッタは少し重ためのバットを軽々しく振り抜く。 そんなにゴツくない身体のどこにこんなスイングを生み出す力があるのか。 イッタの素振りに感心していると、朝の登校時間を告げる音楽が流れはじめた。 これは僕らの朝練終了の合図だ。 「よし、教室に行こうか」 「ちょっと待て、あと一回振らせてくれ」 イッタは真剣な顔で最後のスイングを行う。 「ふぅ、じゃあ行くか!」 それが終わるとイッタはバットを下ろした。僕らはバットをケースにしまい、制服に着替える。 そうしていつもの通り走って、クラスメイトがパラパラと来ている教室に入った。 「うっす! 淳とイッタ! 今日も朝練か?元気だな」 「お前もだろ。長谷」 「まぁエースだからな」 僕らは朝練をするようになってから仲良くなり始めた長谷の隣に座る。 長谷はバスケ部のエースで僕らと同じ時間に学校に来て、一人で練習をしていた。 それを最近発見したことから話が弾み、仲良くなったのだ。
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