第2章:崩壊の景色

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「ところで淳、お前昨日の日記読んだぞ」 長谷は机に肘をつき、大きな欠伸をしながらスマホを弄っている。 教室で触ると先生にバレる恐れがあるのに、こいつはお構い無しだ。 「読んだならコメントくれたらよかったのに」 「しようと思ったんだけど、なんか女と仲良くしてたからさ」 うっ、またみのりの話になりそうだ。 話を変えーー 「長谷はミルキーの中でどのゲームが好きなんだ?」 僕が露骨に困った顔をして逃げようとした時、イッタが話を変えて助けてくれた。 よく見ると僕にしか見えないところでオッケーサインを出している。 僕は感謝の気持ちも込めてそんなイッタのお尻を軽く叩いた。 そして改めて溜息をつき、日記について考えてみる。 みのりちゃんのこと、どうにかしないといけないかもな。 僕の日記が面白いというのは同級生に広まっており、見に来てくれる人は確実に増えている。 これは僕にとっても嬉しいことだ。 しかし一向にコメントしてくれる人が増える気配はない。いや、むしろ減っているかもしれない。 その理由がさっきも言われたみのりちゃんにある。 「いい子なんだけどなぁ」 「誰が?」 思わず出てしまった言葉に長谷が反応する。しまった…… 「あ、そうだ長谷。宿題見せてくれよ」 「え、勉強はお前の方ができるだろ?」 「いいからいいから」 あせあせとカバーしてくれるイッタに心の中で謝罪と感謝をしながら、また考え始めた。 みのりちゃんは僕の日記のファンだといつも言ってくれる。それ自体は嬉しいのだが、ついつい全ての日記で長々とコメントのやり取りをしてしまうため、他の人が書き込みにくくなってしまっているらしい。 ちなみにこの前、クラスメイトの女の子に言われた時は相当テンパってしまい、その反応が逆に変な誤解を与えてしまった。 淳君はあの日記にコメントしてる女の子が好きらしいよ! こんな噂が今流れてる。というのをイッタから聞いた時は本当に恥ずかしかった。 いや、好きとかではないんだ。 なんて否定しても今更誰も聞いてはくれないよな。
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