第2章:崩壊の景色

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「とにかく淳の現状をまとめるとな、お前はわけのわからん女のことを良い人だと自分に言い聞かせ、さらには実際に、相手の聞こえない場所にも関わらず、現実の他人にあの子は良い子だと、言う必要もないのに言ってしまう。そのくせ好きではないと言う」 「イッタ、わけのわからん女は言いすぎだぞ」 イッタの発言はおそらく正しい。他の人から見ればどういう関係なんだよ!ってモヤモヤするだろうし、当事者である本人が分かっていないことにしても、はっきりしろとなる。 けど分からないのだ。分からない中で、僕は彼女からのコメントに返信し、長くやりとりを楽しんでしまう。 「実際わけわかんない女だろ? 毎日毎日コメントしてきてさ。お前もニヤニヤ返信して、なんとも思ってません、なんて。お互い相手をオモチャかなんかだと思ってんじゃねぇの」 「イッタ!!」 僕はイッタのまくし立てるような発言を制止しようと叫んだ。何故だかわからない。わからないけど、オモチャと言われた瞬間少し……いやかなりイラッとした。 「言いすぎだぞ」 実際正しいとは思う。イッタの言ってることは正しすぎて、何も言い返せない。言い返せないけど彼女を馬鹿にする言葉には反応してしまう自分がいるのだ。 僕はずっと下を向いていたが、沈黙に耐え切れず、イッタの表情をチラッと確認する。 イッタはなぜかわずかに口角を上げて、不気味な感じで笑っていた。 「悪い。だけど今思ったよ。やっぱり淳、お前さ」 さらにイッタはそのままの表情で、静かになってしまった空気を壊すように口を開く。 しかしそこで言葉を出すのを止め、口をぎゅっと閉じて、また空を見上げた。 さっきのように叫んだりはしない。穏やかでいて且つ、困ったような顔をして。 「まぁ今はいいか」 その後僕らは自然とこの話を止め、いつも通りの会話に戻った。 野球の話、遊びの話、クラスメイトの話、ドラマの話ーー 「まぁ秋大会も近いことだし、他であんまり悩みすぎんなよ。何事もなるようになるから」 そうして最後にイッタが締めたその言葉がみのりちゃんの話に関して言っていることは明らかだったが、表情はさっきまでと違い、妙に納得したような感じであった。
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