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なにを赤くなってるんだ、僕は。
みのりちゃんが本気で言ってるとは限らないだろ。ただ煽てられてるだけかもしれないじゃないか。
僕は自分に言い聞かせるが、それでも顔に感じる熱は中々落ちてくれない。
一体なんなんだこれは。
僕は小説のページを開いてみる。
そこにはランキングと新着小説が紹介されており、綺麗な表紙を持った作品は特に目立つ形で取り上げられていた。
僕にもこんな風な小説が書けるのか?
全然人気が出なかったら恥ずかしくないか?
けれどみのりちゃんが読んでみたいと言うなら書いてみたい……かも。
[みのりちゃんがそう言ってくれるなら書いてみようかなぁ]
僕はそんな風に一度書き込み、送信ボタンを押す寸前に指を止める。
これはやめよう。恥ずかしい。
僕は結局、前半部分を消去し、
[書いてみようかなぁ]
とだけを送信した。
そしてまた小説ページに戻り、一番上に紹介されている小説を開き、読んでみる。
それは少し大人な恋愛小説のようだ。
紙の小説よりも読みやすいような気がする。あまり難しい言葉などはないように感じる。これなら僕でもいけるかも。けれどこの表紙とかは一体どうすればいいんだろう? 僕が自分で書くわけにもいかないし。
そんなことを考えていると、みのりちゃんから僕の考えを読み取ったかのようなコメントが来た。
[うん! 絶対書いてみて! 私絵描くの自信あるから淳君が小説書くなら、表紙は私に書かせてほしいな]
それはみのりちゃんと共同で小説を作り上げるということになるのかな?
それはーー
「楽しそうかも……」
僕は誰に伝えるわけでも聞かせるわけでもない言葉を漏らす。
もう心は完全に小説を書く方に傾いていた。
どんな小説にしようか。
携帯小説といえばやはり恋愛小説かなというイメージがある。
けれど全く経験のない僕に恋愛小説が書けるとは思わない。
ファンタジー? なんだか少し難しそうに感じる。
青春物?
野球部に入ってる中学生の青春を書くような小説なら、いつも書いてる日記の延長線のような形で書けそうだ。
「これで書いてみるか」
僕はまた独り言を残して、小説作成のページを進んだ。
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