第3章:依存

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僕は買いだめしてあるパン置き場から適当に一つ掴み取り、コップに牛乳を入れて机に座る。 スマホを開きメールボックスを見ると、母親からのメールが1通と妹からのメールが2通届いていた。 おそらく心配だからメールを返しなさいといった内容だろう。 また後で返そう。 僕はあの事件の後転校して違う中学校に通い、高校は住んでたところからあえて離れた場所を選んだため、一人暮らしをすることになった。 そして一人暮らしを始めて2年。 母さんからは毎日こうやってメールが来る。 ちゃんと生活できてるか、サボってないか、勉強はできてるか。概ねこんな内容だ。よく同じような内容を毎日送れるもんだと感心する。 朝食を食べ終えた僕は髪の毛を洗って寝癖を直し、ドライヤーでさっと乾かした。 それが終わるとハンガーに掛けられた制服の袖に腕を通し、ネクタイを締めて鞄の中身を確認する。 忘れ物はない。 僕はその鞄と別にパソコンの入った鞄も肩に掛けて外に出た。 ここから高校までは歩いて行ける距離のため、準備にもそんなに時間をかけない僕は授業開始の30分前に起きても間に合う。 ギリギリだけど、早く着いたところで友達もいないし、誰と喋るわけでもないからこれでいいんだ。 「おはよう!」 「今日は天気いいなぁ」 「めちゃくちゃ眠たいんだけど」 いつもの如く、校門の前では様々な声が飛び交っていた。 僕はだらだらと歩いている邪魔な学生を避けるように進んでいく。 そして校舎に入ろうとした時、誰かに腕を掴まれた。 「あつしーよくぞ2日も学校を休んでくれたな」 あぁ、捕まってしまったか。 僕の担任の先生である横山徹(よこやまとおる)。 若いために親近感のある教師だと学内では人気者だ。学生からは徹と下の名前で呼ばれているが、僕は横山と呼んでいる。 ちなみに横山は僕がサボるとすぐにウザったい電話をかけてくる為、二年生になってからはあまり休めなくなってしまった。 「すみません。疲れていたので有休を使いました」 「なーにが有休だ! 生意気なことを言うな! 学生にそんなものは無い!」 必死に返してくる横山を無視して進もうとしたが、また腕を掴まれる。
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