第3章:依存

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とりあえず母さんと妹にメールを返してからだな。 読んでみると母さんからは[淳、あんた遅刻してないでしょうね?]という内容、妹からは[お兄ちゃんたまには帰ってこい]という内容だ。 母さんには[遅刻していないし大丈夫]と返し、[妹にはまた今度帰るよ]と返す。 うん、嘘はついていない。僕はサボりはするが遅刻はしない。今日は横山の所為だからノーカウントだ。実家にも今度帰る。いつかは分からないが。 僕が文章を打っている間に授業は始まり、板書が進んでいる。消される前にノートを取らなければ、誰かにノートを借りたりできない僕にとっては少し痛い。 サボってる分来ている範囲のところはテストでも確実に点数を取らなければいけないというのもある。 しかしペンを持とうとした時、ポケットの中でスマホが震えるのを感じた。 おいおい、妹よ。返信が早いのは良いことだがお前も授業中だろ。 と一応誰からか確認すると、相手は妹ではなく、みのりからだった。 [淳くん 今日はちゃんと学校に来た?] みのりは最近、学校に来てるのかをよく確認してくる。おそらく僕がサボりがちなのを心配してくれているのだろう。けれどみのりも授業中である時間にメールを送ってきていることを考えると、あまり真面目なタイプではないのだろうと思う。 [来てるよ。みのりこそ授業中じゃないの?] みのりに返信を送ると、僕はすぐに板書を始めた。 他の生徒は隣の席の友達とちょろっと会話をしたり、先生に質問したりしているので板書に時間がかかるみたいだが、僕は板書を始めるとそれに集中するので、あまり困ったことはない。 ただみのりとメールをしているとたまに授業中であることを忘れてしまうことがある。 それだけみのりとのメールは楽しい。 僕にとってはこれしかないから。 [私も授業中だけど、大した授業じゃないから大丈夫!] みのりにとって大した授業とはなんなのか。毎日メールをしているが、返信はいつも早い。 前に好きな授業を聞いた時は美術と国語と言っていて、いかにもみのりらしいと思った。あと、僕も国語と美術は好きだからなんだか嬉しかった。
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