第1章:はじまり

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「で、あんだけ否定していた淳も結局ミルラーになったわけだが」 帰り道。 もうすっかり日も落ち、街灯の灯りが目立つ道を僕とイッタは歩いている。 「笑いたきゃ笑え。僕はもうミルラーだ」 こうなってしまえば、もう開き直る他にない。ちなみにミルラーというのはミルキーにハマっている人のことを言うらしい。 僕はあの野球部ノリでミルキーを登録し、そして先輩、同級生とフレンド申請のやり取りを済ました。 今僕のミルともとやらは15人となっていて、みんなの日記が読める形になっている。 「あ、キャプテンが日記書いてるぞ。また涙を誘うような……まるで明日の負けはもう決まってるみたいな雰囲気だな」 イッタは縁起の悪い発言をしながら、ポチポチと日記にコメントを書いている。 僕はそんなイッタを見ながら溜息をついた。 こういうの、あまり得意じゃないんだけどな。 どうやら野球部の中ではゲームだけでは無く、日記を書いてお互いコメントをしに行くのも流行ってるらしい。 普通そんなのはめんどくさいと感じるものだと思うのだが、これも野球部ノリの1つなのかもしれない。 「あ、もうこんなところか。じゃあな」 「おう。スマホの見過ぎで事故るなよ」 「へいへい、心配あざます」 僕は、スマホをずっといじっているイッタの背中を見ながらもう一度溜息をついた。 結局あいつの思い通りになってしまった。 まぁいいか。僕はみんなみたいにハマらなければいいだけだ。 けど今日ぐらいは日記を書いておいた方がいいだろう。そういうノリだし。先輩も見てるし。 僕はそこから帰り道の家までの間、今日あった出来事なんかを思い出しながら文字を打ち込んだ。 そして家に到着したタイミングでちょうど書き終わり、スマホをポケットにしまう。 さぁ今日は少しだけ夏休みの宿題を進めて、明日の試合に備えて早く寝ることにしよう。
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