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一週間後
僕たちの野球部は奇跡的に勝利を重ね、まだ勝ち続けていた。
「いやーイッタはやっぱり凄いなぁ!!」
「ベスト4に残れるなんて夢にも思ってなかったよ」
「今大会ここまでまだ無失点で、毎試合打点だもんな」
先輩たちは手放しで喜び、イッタを褒めちぎっている。実際にイッタはそれだけの活躍をしていた。
「嫌ぁ、やっぱり神に愛されてるというか?」
イッタは先輩に奢ってもらったハンバーガーを頬張りながら、ドヤ顔になっている。
その横で僕は真剣に画面と向き合いながら
「あれ? 淳、またミルキーしてんの?」
完全にミルキーにハマってしまっていた。
「……悪いかよ。お前の写真も載せとくぞ」
こんなつもりじゃなかったのに。
一週間前はただみんなと合わせるためだけにとったミルキー。
それからはじめは軽く練習終わりや試合終わりに日記を書いていただけだったのだけど、次第に夏休みの宿題の合間に日記、ゲームをした感想の日記、アニメの日記と日記を書く数が増えてきて、さらに他の機能でも楽しむようになっていた。
最近は好きなアニメのサークルにも入って語り合ったりしてしまっている。
「淳の日記は読みやすいし、画像もあって楽しいからついつい読んじゃうんだよなぁ」
先輩は試合に関する日記を書き終わった僕の方を向いた。
「ありがとうございます。自分でも意外なんですが、凄く書くのが楽しくて」
僕は今まで作文などは苦手だと思っていた。
それが今では誰よりも書いて、誰よりも楽しんでいる。
「お、もうコメントしてきてる人いるぞ」
イッタの報告を受けて、僕はさっき書き終えた日記のコメント欄を見る。
そこには可愛い顔文字付きで試合に勝てたことに対する良かったですねという言葉と、イッタの画像へかっこいいですねという言葉が書かれていた。
この子は昨日アニメのサークルで絡んだことから友達になった”みのりちゃん”だ。
「この子は男を見る目があるな」
「そうか? 僕にはとても足りないように思うけど」
「このやろ!!」
イッタは僕の頭を脇で締める。
「お前らは本当に仲がいいな」
先輩はそんな僕たちの様子を見て、楽しそうに笑った。
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