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刹那。ピンと空気が張り詰める。
ビリビリと針で刺されたような、緊張が走る。
──今は微動だにしてはいけない。
まずは暗闇に目を慣らさないと。
極度の緊張感は、戦場で味わったものと似ていた。
生きるか死ぬか─。
それと酷似していた。
……誰かは知らんが、デカイ鼠が入り込んでいるようだ。
そいつがイタズラの手紙を出し、今まさに俺を狙っているのだろう。
理由は分からんが、まずは捕まえる。
捕まえて、吐かす。
その瞬間反射的に、陸軍時代のスイッチが入る。
それは決して愛子には見せたくない、悪魔のような感情だ。
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