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「──おい」
声を掛ける。しかし返事はない。
ぐいっと胸倉部分のマントを掴む。
「おい。何しに来た?何が目的だ?」
顔を近付け尋ねるが、男は何も言わない。
未だに痛そうな、苦痛の表情を浮かべているだけだ。
「─チッ」
小さく舌打ちをし、男の左頬を殴り付けた。
男は床に倒れ込み、また小さく唸り声を上げる。
───仕方ないな。
吐く気がないなら、吐かせる。
穏便にいきたかったが、これも仕方ない。
吐かせる方法もそれなりに知っていた。
しかし…。吐かせるにしても、部屋の中が暗くてはな。
立ち上がり、ブレーカーを上げに行こうとした。
張り詰めた緊張も解けていき、やかんの音が聞こえ出す。
…やかんも止めないと、うるさいな。
ふぅと息を吐き、後ろに振り向いた時だった。
「──なっ!?」
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