地下牢の遊戯

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汚れた灰色の天井と壁、床。もちろん窓はない。 目の前には等間隔に並んだ、黒い鉄格子。 部屋の中には、汚いシーツが引かれたパイプベッドがあるだけ。 足を動かすとパチャと、水の音がした。 床を見ると僅かながらに、水溜りが出来ている。 しかし水溜りは所々にあり、床がデコボコしていることが分かる。 その中に、小さな排水口の蓋が見えた。 それも酷く汚れていて、銀色の蓋は黒くなっている。 大きさも拳が入らない程、小さな物だった。 ───どう見ても牢獄だな。 再び顔を上げ壁に向かい、グーにした手で壁を叩いてみる。 音からして壁も厚いことが分かった。 逃げ道は、なし。 やはり目の前の扉からしかないか。 ふぅ…とため息を吐くと、目の前の格子に近付いて行った。
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