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「──分かった。じゃあ1週間後だな」
電話の向こうから「うん」と、柔らかな声が返ってくる。
「体には気を付けろよ。またこっちに着く時に連絡してくれ」
分かりましたの声の後、通話が切れた。
久し振りに聞く愛する人の声。
ふっと微笑むと、机の上に携帯を置いた。
朝起きてからの日課である筋肉トレーニングを終えた時、愛子から着信があった。
それを終えたので、風呂場に向かう。
「シャー……」
火照った体に冷たいシャワーが心地良い。
しばらく水浴びをして、シャワーの温度を上げた。
石鹸を泡立て、体を手で洗っていく。
──ズキリ。
石鹸の泡がしみる。
そこを洗い流すと、胸に斬られた傷痕があった。
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