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「相変わらず威勢だけは良いな、千世(ちよ)。」
「! 幼名で呼ぶんじゃねぇ!俺は鷹司(たかつかさ)影虎(かげとら)だって言ってんだろ!」
影虎と名乗った男は刀をブンブン振って怒鳴る。
和泉守は「五月蝿(うるさ)い」とでも言いたげに顔をしかめた。
「・・・ふん、余裕かましていられるのも今のうちだぜ、今日こそは決着をつけてやる。」
平静さを取り戻したのか、影虎は刀を構え直す。
「―それこそ、こちらの科白だ。長年に亘る確執もここまで。
この安住(あずみ)の地は、我ら和泉守がいただく。」
現在対峙している草原を含む周囲の土地、安住を巡って、長いこと和泉守と鷹司は戦闘を繰り返してきた。
獲っては獲られ、殺っては殺られる、その繰り返し。領内にも疲弊の色が見えてきて、ここらで決着をつけたいのは両陣に一致した見解だ。
「―・・・では・・・いざ」
「参る!」
薙刀と刀が降り下ろされ、ガキン!と重い音が鳴り響く。
その音を合図に、後ろに控えていた騎馬も鬨(とき)の声を上げ、一斉に戦闘が始まった。
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