8724人が本棚に入れています
本棚に追加
/485ページ
サラは2歳を過ぎた。
もう走ることもできるし、舌足らずながらも会話だってできる。
今日は、アドニスの魔力判定日だ。
興奮して寝付けなかったようで、朝食の席につくアドニスは眠たそうな顔をしていた。
なんとなく屋敷全体が朝からソワソワしていて、使用人もチラチラとアドニスを窺っている。
その視線を言葉で表すなら、「頑張って、ぼっちゃん!」といったところか。
「アドニス、朝食が終わったら地下へ行くぞ。」
父がアドニスに声をかける。
「! うん!」
一気に目が覚めたアドニスは、慌ててご飯を口にかきこんだ。
判定には、判定される子どもと、その両親しか立ち会えないしきたりだ。
サラは自室でソワソワしながら本を読んでいた。
「ふふ、サラさま、先程からページが進んでおりませんよ。」
可笑しそうにシオーネが指摘する。
この1年で、サラは図書室の蔵書を読み尽くしてしまった。
今は、カーティスの本を借りたり、新たに購入したりして知識を広げている。
もはやフラム家の人々は、サラが大人顔負けの小難しい本を読むことに驚かなくなっていた。
「サラさまは凄いですわ~」とか「サラは本当に天使だな!」とか言うくらいだ。(天使であることと読書内容にどんな相関関係があるのか、知識を広げてきたサラにも未だわからない。)
最初のコメントを投稿しよう!