第3章

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サラは2歳を過ぎた。 もう走ることもできるし、舌足らずながらも会話だってできる。 今日は、アドニスの魔力判定日だ。 興奮して寝付けなかったようで、朝食の席につくアドニスは眠たそうな顔をしていた。 なんとなく屋敷全体が朝からソワソワしていて、使用人もチラチラとアドニスを窺っている。 その視線を言葉で表すなら、「頑張って、ぼっちゃん!」といったところか。 「アドニス、朝食が終わったら地下へ行くぞ。」 父がアドニスに声をかける。 「! うん!」 一気に目が覚めたアドニスは、慌ててご飯を口にかきこんだ。 判定には、判定される子どもと、その両親しか立ち会えないしきたりだ。 サラは自室でソワソワしながら本を読んでいた。 「ふふ、サラさま、先程からページが進んでおりませんよ。」 可笑しそうにシオーネが指摘する。 この1年で、サラは図書室の蔵書を読み尽くしてしまった。 今は、カーティスの本を借りたり、新たに購入したりして知識を広げている。 もはやフラム家の人々は、サラが大人顔負けの小難しい本を読むことに驚かなくなっていた。 「サラさまは凄いですわ~」とか「サラは本当に天使だな!」とか言うくらいだ。(天使であることと読書内容にどんな相関関係があるのか、知識を広げてきたサラにも未だわからない。)
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