第5章

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あれから3か月。 鰹節、昆布、味噌が揃った。豆腐も作った。 テッラ領に『トーフヨー』という発酵食品があることを突き止め、製造元を訪ねたところ、麹(こうじ)と苦汁(にがり)を手にしたのである。 醤油は出来上がるまでに1年ほどかかるから、待つしかない。 (あぁ~良い匂い・・・) 鼻をクンクン動かす。 今は朝の6時、朝食を作っている真っ最中である。 おにぎりを作った日、アドニスが喧伝(けんでん)したようで、サラが朝食を作ったことはすぐに屋敷中に知れ亘っていた。 そして父母に「自分の分も作ってくれ」と頼まれ、作るのは四人分に。 その後、何故か家庭教師カーティスと魔法指南役マシューの分も作ることになり、6人分になった。 (カーティスとマシューは元々通いで来ていたが、本格的にサラにも教えるようになったことに伴い、フラム家に移り住んだ。) 今日は、ご飯に豆腐と若布(ワカメ)のお味噌汁、だし巻き玉子、白身魚の味噌漬け焼き、温野菜サラダである。 コック達は、サラの作る料理に時折質問を投げかけつつ、使用人たちの朝食を作ったり、昼食の下拵(したごしら)えをしていた。
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