1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
お菓子に始まり、電池、靴下、漫画本……。
お店の人に見つかる事もあった。けど、僕は走って逃げてみせた。
未遂はあっても、失敗はなく、やれば成功、断れば殴られる。
あの駄菓子屋にも、何度も行った。
お金を払ってお菓子を持ち帰ったのはもう、何年前の事だろう。
あいつらは遠くから見ているだけで、邪魔もしなければ手助けもせず、協力もしないくせに、品物は全て取り上げられた。
もう、嫌だった。
腹の底から真っ黒なものが溢れだして、口から出てきそうだった。
やめたいと言えば、殴られる。痛いのは嫌だ、でもこのままも嫌だ。
両親に相談した。
あいつらの名前も言って、無理矢理やらされていると言った。けど、そう言ったとたん、父親に殴られ、僕は床を転がった。
リーダーのあいつの父親の会社に、僕の父は勤めているんだと、母親に言われた。
もう誰にも相談できない。でも、あと少し頑張れば……中学校を卒業すれば、あいつらともお別れだ。
あと数ヵ月、我慢すれば僕は、解放される。それだけを希望にして、おとなしくあいつらのイヌとなっていた。
最初のコメントを投稿しよう!