うまい棒も買えないけど、価値のあるもの。

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お菓子に始まり、電池、靴下、漫画本……。 お店の人に見つかる事もあった。けど、僕は走って逃げてみせた。 未遂はあっても、失敗はなく、やれば成功、断れば殴られる。 あの駄菓子屋にも、何度も行った。 お金を払ってお菓子を持ち帰ったのはもう、何年前の事だろう。 あいつらは遠くから見ているだけで、邪魔もしなければ手助けもせず、協力もしないくせに、品物は全て取り上げられた。 もう、嫌だった。 腹の底から真っ黒なものが溢れだして、口から出てきそうだった。 やめたいと言えば、殴られる。痛いのは嫌だ、でもこのままも嫌だ。 両親に相談した。 あいつらの名前も言って、無理矢理やらされていると言った。けど、そう言ったとたん、父親に殴られ、僕は床を転がった。 リーダーのあいつの父親の会社に、僕の父は勤めているんだと、母親に言われた。 もう誰にも相談できない。でも、あと少し頑張れば……中学校を卒業すれば、あいつらともお別れだ。 あと数ヵ月、我慢すれば僕は、解放される。それだけを希望にして、おとなしくあいつらのイヌとなっていた。
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