内海葉月という女

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内海葉月という女

~side将人~ 「葉月、今度のミーティングについてなんだけど」 「あー、あれかぁ。あれはねぇ……」 別に、意識しているわけじゃない。ただ、視界に入ってくるだけだ。 内海葉月。 俺と同じく伊東雄大のせいで親を失った。けれど、その後はまるで違う。 伊東のためなら、何だってすると言う 。伊東から社長の座を奪いたいと思う俺。 別に、俺が違うなんて思ってない。むしろ、やるべきなんだ。 母親を失って、施設に入れられた。内海の様に、幸せな記憶はお世辞にもあったとは言えない。 施設に楽しい記憶がゼロだったわけじゃない。誕生日だって祝えてもらえるし、行事だって施設の大人が工夫してやってくれる。 常に施設には、俺達のことを考えてくれる人がいた。 でもそれは、施設の人であって家族じゃない。 いくら優しくしてくれたって、それは施設での温もりだ。 内海の様な、恵まれた環境じゃなかった。 だから、正直ムカついた。 味方出来ない?そりゃあ、そんな思い出をもらってたら出来ないだろう。 何か目的があって、それを成し遂げなくてはいけない。
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